WheeLog! in 浜松 親子街歩きイベント開催報告レポート

2019年10月5日に浜松市役所にて、WheeLog! in 浜松 親子街歩きイベントが開催されました。Enchanさんからレポートをいただいたのでご紹介します。

こんにちは、車イスとオートバイ(どちらも2輪車)を愛するいわゆるリターンライダーのEnchanと申します。

令和元年10月5日、心配した天気予報を裏切りまさかの夏日に恵まれた中、【主催】国土交通省、【実証協力】浜松市・一般社団法人WheeLog が開催する「WheeLog! in 浜松」親子街歩きイベントに参加してきました。(https://www.wheelog.com/hp/archives/14270

このイベントは、小学4年生から6年生と保護者を対象に、WheeLog!アプリを使って、街歩きをしながらバリアフリー情報を集めるイベントです。

当日は、浜松市役所を拠点に隣接する浜松城址公園と最寄り駅のJR浜松駅周辺を4グループに分かれて調査しました。

今回のイベントで得られた知見や収集した情報などは国道周辺のバリアフリー化の推進や浜松市の行政に役立てる狙いがあるとのことです。

【今回の街歩きの2大特徴】

今回の街歩きは今まで各地方で開催されたWheeLog街歩きの狙いに加えて、新しい試みとして特別な目的を持っていたと感じています。

一つ目の特徴は今回が国土交通省主催の初の地方イベントであることです。

今後ますます世間の信頼を得ながらWheeLogアプリの発展・普及を加速させるために、このような形でのイベントの協力開催はとても大切であると思います。

他の地域イベントと重なり、参加人数は少な目の20人程度でしたが、その分車いすユーザーと子供たちとのコミュニケーションの親密度は濃かったと感じます。

国土交通省 清水純課長のご挨拶

2つ目の特徴は、街歩きイベント参加の対象が小学生高学年と保護者限定であったことです。

子供たちが主役となることで車いすに好印象を持ってくれることは、長い目でみて「こころのバリアフリーの浸透」に大きく貢献するのではないかと期待しています。

「車いすの人はかわいそう、なんか怖くて近寄りがたい」と思っている普通の子と、逆に「車いすは素晴らしい、楽しいし友達になりたい」と知っている子ではその後の人間形成の成長過程で目にしたり、耳にする様々な経験を全く異なる感覚で吸収していくことになると思います。

子供のころに車いすとの楽しい出会いを経験することで車いすに対する好印象がますます広がっていくことでしょうから、幼いうちに車いすに身近に楽しく接しておくことがとても大切だと思います。

【織田友理子代表のスピーチにもお子さん向けに一工夫が】

今回の対象がお子さんであるということから、織田友理子代表の挨拶もいつもより丁寧でお子さんを意識し噛み砕いたもののように思いました。

いつものようにご自分の生い立ちや家族構成を説明して参加者を惹きつけたあとで、より具体的でわかりやすい5つのお願いを述べられました。

織田友理子代表が2年程前にYoutubeの車いすウォーカーの中で紹介された「こころのバリアフリーサポート」をかいつまんだもので、何をしてほしいかの前に何をして欲しくないかを中心に簡潔にまとめたものでした。

1多目的トイレをなるべく使わないでね
 ほとんどの車椅子ユーザーは多目的トイレでないトイレが使えません。

2車椅子優先駐車場を使わないでね
 広い場所でドアを全開に開かないと車の乗り降りが出来ません。

3エレベーターを譲ってね
 エレベーターを使わないと階の移動が出来ません。譲ってくれると助かります。

4電車やバスの専用スペースを譲ってね
 出入り口を専有すると車いすも他の乗客も危険です。

5ドアを開けてね
 車椅子では手動のドアを開けるのは大変です。開けてくれると助かります。

「これなら僕にも私にも簡単にできる!」と子供たちに最初に感じてもらい、参加する意義が伝わるわかりやすい導入話だと思いました。

アメリカなどと違って日本では法的な罰則はなく、すべてがモラルに頼っていますから、なおさらこうしたこころのバリアフリーが浸透して欲しいと思います。

また、織田友理子さんに続いて事務局の織田洋一さんも車いすが初めてのお子さんが怪我をしないようにと、車椅子の乗り方や注意点について実演して説明してくれました。

【ちょっとだけ残念だった浜松城址公園】

私のグループが目指した石垣で有名な浜松城天守閣は、徳川家康が元亀元年(1570年)に入城したころに始まる歴史のある遺跡です。

敵の攻撃から殿を守るという城の性格上、天守閣は山の高い位置にあるため超バリアフルなのはやむを得ないことです。

しかし現代では、急な石畳の坂道も左側の1m程が車いすに配慮してかアスファルトに改修されているなどバリアフリー化されている所も一部ありました。

でも左に傾いた道を歩く時、寄りすぎるとガードレールがなくて溝に落ちそうだし、大きな穴がところどころにあったり、さらには大勢の武士が踏み歩いたであろう由緒あるデコボコした巨石が剥き出しの道もあり、「これは車いすに対するいやがらせ?」なんて発言に笑いが生まれる場面もありました。

歴史的遺産の保存とバリアフリーの両立の難しさを感じました。

また公園内にはいくつか多目的トイレがあるのですが、大きな蜘蛛がいてお子さんや女性ユーザーが怖がって入れない所があったり、水タンクについている水を流すためのレバーが手の届きにくい便座の真後ろで、しかも座ったままでは絶対に手が届かないと思われる程高い位置にあったりもしました。

「仏作って魂いれず」かなと少しがっかりしましたが、車いすの方が「これは介助者を前提としたもので、無いよりはあるだけでも助かる」と呟いたのが印象的でした。

なるほど、言われてみればその通りだと気づきました。

【こどもたちの素直な感想にうれしくて涙がでそうに】

最初は人見知りだった子供たちも途中からはスタッフや周りの大人たちとすっかり打ち解けてお互いにため口をきくようになりました。

最初は車いすの操作がぎこちなかった子供たちも後半ではすっかり上達し、駆け足でも追いつかないぐらいのスピードで車いすを走らせます。

また、ちょっとでも余った時間があると車いすでアトラクションを楽しんだりしていました。

逆に車いすのスタッフの中には子供好きの方が多く、普段あまり話すことのできない子供たちに取り囲まれてまるで子供のように大喜びではしゃいでいました。

実に和やかな雰囲気の中であっという間に時間が過ぎていきました。

街歩きの後の振り返りでは参加した子供たちのうれしいコメントをたくさん聞くことが出来ました。

同じグループだった小5の女の子は「正直に言うと最初は来たくなかった。お母さんに言われていやいや来たけど、すごく楽しかった。歩けない人にとって車いすはとても親切(な乗り物)だと思いました。」と自分の言葉で話してくれました。

また別の男の子は「車いすに乗っていると、真っ直ぐ進むことも難しいと分かりました。今度から、車いすの人を見かけたら道の通りやすい方を空けて、車いすの人が通りやすいようにしたいと思います」

さらに小6の男の子はNHK静岡テレビのWEB NEWSの中で「車いすの人が普段どんな風に乗っているかということが分かって、今度見たら助けてあげたいと思った」

などなど・・・何という素直で優しい子どもたちなんだろう!

【走行ログとスポット投稿の成果】

 浜松城周辺のグループも市役所から浜松駅までのグループも車いすで通行可能なルートの軌跡をたくさん残してくれました。

ちなみに浜松城址公園内で道なき広い芝生の原っぱを横切ったのは、遠くに見えた多目的トイレを目指し、芝生での車いす走行に挑戦してみた私達のグループで、芝生の上を歩く難しさも体験できました。

またどちらのグループからもたくさんのスポット投稿をしていただきました。

代表例を挙げるとMegさんの「砂利、段差、傾斜のオンパレード!」という浜松城天守閣での正直な投稿や、funaさんの「浜松城駐車場のトイレです。引き戸で、開けたままで止まります。流すレバーは後ろ向きに設置されています。広さは十分な広さです。足元に荷物置きもあります。」と具体的に言葉でも説明されている多目的トイレなどがありました。

【NHK静岡のテレビ放映】

なんと、その日の夜にはNHK静岡放送局で「WheeLog! in 浜松」が紹介されました

こうしたメディアによってひとりでも多くの方にWheeLogのアプリの良さを知ってもらえることはうれしく思います。

【住んでみたくなるほどバリアフリーな駅周辺の歩道】

電車を使わずにバイクで現地に向かったこともあり、イベント当日に街歩きをできなかった浜松駅周辺のバリアフリーの状況も大変気になっていました。

そこで翌日新幹線で帰宅する友人に付き合いながら浜松駅周辺をぶらぶらしました。

この写真を注意してよ~く見てください。 どこに注目していただきたいかわかりますか?

有名な浜松餃子を食べようとあちこち歩いたおかげもあって、駅周辺で気づいたのは歩道が広くて車道との高低差も小さく、交差点はほとんど段差がないようになだらかな傾斜となっていることです。

もちろん後日WheeLogのNiceのスポット登録を追加しておきました。

また浜松はたくさんのブラジル人が住んでいるためかサンバのお祭りに偶然出くわしましたが、そのとき気づいたのがお祭りを見学する一般の車いすのお客さんの割合がほかの街よりも断然多いということです。

車いすの友人が、広くて段差のない歩道に囲まれた浜松の町は車いすの人にとって居心地のよい街なんだろうと言ったのが印象的でした。

イベント当日の超バリアフルな浜松城だけでなく、車いすに優しい浜松駅周辺の両方を経験したことで、より一層バリアフリーの有り難みを感じることが出来ました。
 

【スタッフ紹介】

最後に今回のスタッフの紹介です。微力ながらも今回初めてWheeLogのお手伝いができて本当に嬉しく思います。

みなさんお忙しい中、遠方より駆けつけてくださり大変お疲れ様でした。

Meg, Enchan, eichan, kumachan, Yuriko, masayo, Yoichi, makky

長文にも関わらず最後まで読んでいただきありがとうございました。

執筆者:Enchan

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