2019年10月17日(木)に「着物 de 浅草 in WheeLog!」を開催しました。浅草にて着物の着付け、そしてランチタイムや街歩きも企画していただきました。irubiさんからレポートをいただいたのでご紹介します。
目次
企画概要
・日時 2019年10月17日(木) 9:30~17:30
・集合場所 浅草文化観光センター 中会議室 4階
・プログラム
9:30 受付開始
10:00 着付けスタート
12:30 会館を出発
13:00 レストランアラスカでランチ
14:00 浅草門をくぐり散策
~自由散策~
15:30 帰館・振り返り
16:30 解散
主催:一般社団法人WheeLog!
協力:着物着付け&介護福祉士 藤原育美様、助手 豊田様
まずは着付けからスタート
当日は雨も心配されましたが、朝のうちは大丈夫だったので、9時30分と言わず来た方から順番に着付けが始まりました。
女性は事前に着物だけ自分で選び、帯や小物は先生のお任せでした。
車いす用の着付けのポイントとは
車いす用の着付けで、本来の着付けと違うところは3つあります。
1つ目が簡易な「うそ襟」をつけることです。うそ襟を立てないと長襦袢や半襦袢を着ることがひと苦労になることと、着付け人数が多い場合、かさばる着物下着類は大量の荷物になってしまうからです。今回は、長襦袢を使わない代わりに長袖の襟が広く開いた下着と、足側はレギンスの着用を先生に勧められました。お着物を汗で汚さないためという心遣いもあります。
2つ目は、後ろで帯を結ばず手前で帯結びをすることです。何故なのか?それは、車いすの背もたれの間に物を入れるのと同じ様になる為、上半身が安定しない方にとっては、前に倒れてしまう危険性があるからです。
3つ目は、お袖が車いすのタイヤに巻き込まれないよう、ゴム紐でたすき掛けのようにしてお袖をたくし上げることです。様々な工夫のお陰で、お手伝いいただきながら軽く腰を浮かせるだけで、裾を引っ張り、苦痛のない姿勢で着付けをしていただき、快適に着こなせました。
男性の着付けも
今回、女性の中でただ一人だけの男性参加者。
男性の方には身長だけ聞き、着物、帯、小物は先生のお任せでした。
これまた女子チームは男性への着付けを興味津々で見てしまいました。
着用された帯は博多職といい、お相撲さんで言えば幕下上の方しか身に着けることのできない格のある帯だそうです。
男性の帯は平たく結べる為、後ろ結びでした。
なかなかお似合いでしたね。
着物の印象は帯で決まる、でも小物や髪留めにもこだわりたい
歩ける方の帯は後ろでキチンと結い上げます。茶色だけ…?と思いましたが、オレンジも入り素敵な仕上がりです。
帯だけで、本当に着物の印象がグッとしまります。
白襟の時は装飾品を身に着けないのがマナーだそうですが、今回着たのは普段着物。
イヤリングをつけたり、小物でお洒落を楽しめるのも魅力の一つです。髪留めは愛ちゃんがチョイス!パールのイヤリングも似合っていて可愛いらしくまとまりました。
さあランチ会場へ
全員着替えが終わり、ランチ会場に向かって出発です!
ランチ会場は雷門から徒歩7分程のところにある有名なキンキラキンのオブジェ?シンボル?のアサヒビール本社27階にあるフレンチレルトラン「ALASKA」です。
目的地は直ぐそこ!
アサヒビール本社ビルに入るには、道路から大きな階段を昇った広場に辿り着かなくてはならず、正面からですと大きな階段を上るような作りで車いすでは無理なように見うけられますが、道沿いにありますバーの入口横にエレベーターがありそこを上がると、階段上に辿りつけます。
フレンチレストラン「ALASKA」
フレンチレストラン「ALASKA」に到着です。
浅草の街を見下ろせる絶景ロケーションにて、コース料理を堪能いたしました。
それぞれお着物の話やWheeLog!話で盛り上がり贅沢な一時を過ごせました。
今回のランチメニュー
今回はお魚のランチだったので、身体に優しいランチでした。
前菜に始まり、スープからメイン料理まで本当に美味しく、デザート前にはすでにお腹いっぱいでしたが、「食べれないかも~」といいながらバッチリ完食です。
パンはおかわりできます!もちろん何名かは…
多目的トイレの場所も大事
食と同じレベルで重要なポイントの多目的トイレも同フロアに完備されており、安心してゆっくりと過ごせたのが何よりも嬉しかったです。
雨が降ってきたのでセンターに帰還
お腹も一杯になり、浅草散策とおもいきや・・・
外に出たら雨…先生がどこからか素早くカッパを買って来て下さり、また準備がいい塩田さんは自分のカッパをサッと出していました。流石です!
とにかく散策よりもセンター目指して帰りました。
WheeLog!としては散策ができなかったのは非常に残念でした。
センターに着いて着替えていたら、すでに16時30分を過ぎていました。雨でしたしプログラム通り散策までは出来ませんでしたが、着付けの藤原先生から終わりにあたり話を聞かせてもらいました。人数が少なかったのもあり、最後までアットホームな感じで、緊張することも無く自分の感想を話すことができたのもよかったのかな…とも感じました。
参加者の感想
Hiromin
もう着物は着ない、着れないと諦めていた私にとって、このイベントの話を聞いた瞬間、夢のようなときめきが湧き立ちました。
着物とはこのような一式を使い着こなすという既成概念を崩し、車いすユーザーでも着られる工夫を施せたのも、藤原先生の専門知識の賜物だと感じました。
当日は朝からドキドキワクワクで会場手配も重なり40分も前に到着してしまいました。
一番始めに着付けをしていただきましたが、無理のない姿勢で素早く着込んでいける技は素晴らしいものでした。
帯で姿勢も良くなり、気も引き締まり自信が持てる感覚は非常に貴重な体験でした。
藤原先生のおっしゃられたこと。
「着物×自己再生【着物で、と自信を取り戻す】ということを一つのテーマとしています。着物を纏う事で、たおやかな気持ちになったり洋服では得られない幸福感や、日々の暮らしを穏やかに丁寧な気持ちで生きていこうと思えること」
人が生きていく上で大変貴重な課題であり、それを実現できるひとつとして着付けがあということ。奥深い思想に感銘いたしました。
なんとか曇り空で無事にランチ会場までたどり着けフレンチをゆったりと堪能でき至福の一時を味わえました。帰りは雨に降られてしまいましたが、着物での雨対策の勉強にもなったと思います。浅草散策が出来なかったのが残念でしたが、リベンジできるかな。
同じ車椅子ユーザー皆様にもこのような体験を是非味わっていただきだく、イベント企画ができたら良いなと思います。
藤原先生、助手の高田様、企画いただいたWheeLoggersのirubiさん、どうもありがとうございました。
レスピラール 藤原育美 様
着物レンタル&着付けご利用いただいてのランチ会に、ご参加くださった方、有難う御座いました。
今回は残念ながらランチ中に雨が降ってしまいましたが、当初の目的通り【着物でフレンチコースのランチ】を皆さまとご一緒することができたので、イベントとしてはとりあえず成功ということで安堵しております。
車椅子で着物を着用することは無理かもしれないとイメージを持たれていた方々へ、決して無理ではないと感じていただいたことで、【笑顔と自信】を取り戻す機会になっていただいていれば、介護福祉と着付けの仕事をしている私にとっては、これ以上の喜びはありません。
洋服と違い確かに手間がかかる着物ですが、だからこそ纏う事で得られる非日常感が優雅で贅沢な時間となり、それが自分を労わる時間にも通じるのは、着物だからこそだと思っております。
自分を労わる事ができれば、自然と心に余裕もうまれ他人に対して優しくなれたりもします。(私自身が着てて感じることです!)
これを機会に、車椅子の方でも着物を着る事にチャレンジしてみたいと思われる方がいらっしゃいましたら、今後もまたこのような場を設けさせていただきますので、宜しくお願い致します。
イベントをご一緒することで、車椅子でアクティブに活動される方々の背中を通して、私の方こそ気付きや勇気をいただいた時間でした。
本当にありがとうございました(^‐^)
おわりに
これを機会に、車椅子でも着物を着て外に出てみたいと感じる方が増えてくれたらうれしい限りです。
この企画を考えはしましたが、会場の手配、ランチの選択、プログラム等など私としては自分で出来る範囲が限られてしまい、結局皆さんにお願いしてしまったという課題が残りましたが快くお手伝いを引き受けてくださり、感謝の気持ちでいっぱいです。
また、着付けを担当してくださった藤原さんに本当に心の底から感謝を申し上げます。
(irubi)