(1 of 3)WheeLog! の基本コンセプトと「走行ログ」

CTOの伊藤(島根大学)です。
これから3日連続で『WheeLog! の基本コンセプトと「走行ログ」』と題した記事を掲載します。


WheeLog! プロジェクトがはじまってから3年,紆余曲折がありながら今を迎えております。ここでは,WheeLog! の基本コンセプトを中心に,もっとも特徴的な「走行ログ」についてスライド形式で紹介いたします。

ベースとなったスライドは,2017年9月12日に東京大学で行われた「第16回情報科学技術フォーラム」で発表したものです。一部加筆修正してお届けします。紙芝居だと思って気軽にご覧ください。

第1回 WheeLog! の基本コンセプト

WheeLog! を一言でいえば,みなさんのバリア&バリアフリーの経験を共有して可視化するアプリと言えるでしょう。ただ単に機能だけあっても続きませんので,楽しく行えることを重視しており,ゲーミフィケーションという手法でそれを目指しています。目指していると表現したのは,2018年2月現在ではまだまだ十分ではないからに他なりません。

 

ある日,ストレッチャーに乗り人工呼吸器を装着した女の子が富士山の五合目に登ってきたときのスポットが投稿されました。カテゴリー「NICE!」での投稿です。もちろん,崖を登ったのではなく車での登山ですが,気圧が下がる場所に人工呼吸器を着けた人が行くのは一般的ではありません。でも,この子は家族で行って無事帰ってきました。

同じ身体条件でも,ある人には「無理!」でも,ある人には「楽しい♪」という事実。人生,楽しんだほうがいいわけで,こういったエクストリームな経験を記録&共有&可視化するというのはかならず誰かの勇気になります。次の登山者が現れるかもしれませんね。あんまり危ないところに行くことはススメられませんが,車いすユーザーが諦めがちだった場所に,脳天気な誰かが行くというのは,見知らぬ誰かにとっても無意味ではありません。そう,WheeLog!に投稿しておけばきっと誰かの目に留まるからです。

 

どんなことも楽しくなくては続きません。WheeLog! では,最近流行りのゲーミフィケーションの考え方を導入しています。協力会社のナノコネクトさんはその分野が得意であり,WheeLog! の骨格を強力に支えています。

 

ゲームには,課題をクリアするミッションが欠かせません。WheeLog! にも石を集めて磨くというミッションを用意して,少しでも使い続けられるような工夫をしています。また,各スポット投稿でのコメントやつぶやきはSNS的な要素としてコミュニケーションを加速させています。やはり,どんなアプリもユーザー同士の交流は大切だからです。

 

ご存じの方も多いように,WheeLog! のスポンサーはGoogleです。開発費を支援してもらうためにGoogleインパクトチャレンジ(以下,GIC)でグランプリが取れたので今のWheeLog! があります。GICは「テクノロジーで世界をよくする」がコンセプトでした。なので,WheeLog! ではテクノロジーを最大限に活用する方向で開発が進められています。ただし,実用的に使えなくては意味がないので,泣く泣く実装できていない機能もあります。

たとえば,路面の凹凸を検出する機能です。スマホの加速度センサを使えば可能ですが,実際のスマホはポケットに入れたり手に持っていたりするので,凹凸がうまく拾えません。きちんと拾おうとすれば,車いすに固定する必要があります。それでは実用的とは言えないのです。

さらに,GoogleのTango技術を使えば,路面の凹凸はおろか,建物内の立体地図も生成できます。いずれ,このような最新技術にも対応していく予定です!

 

 

第1回はここまでです。
次回もぜひご覧ください(*^^*)

 

伊藤史人
2018年2月16日
松江駅内のドトールにて

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