最近、ありがたいことに多くの自治体の担当者さまから、オープンデータの活用についてお問い合わせをいただきます。WheeLog!としてはぜひ有益なデータを取り込んで、車いすユーザーの方々の役に立っていきたいと思っています。しかしながら、オープンデータを格納しても逆にユーザーが困ってしまうようなデータがあるのも実情です。
そこで、ここでは「トイレ」に焦点を当てて、オープンデータの好事例と、WheeLog!が推奨するデータフォーマットについて紹介します。
目次
誰でもトイレは誰でも使えるわけじゃない
日本のバリアフリートイレは世界と比較しても、トイレ設備が非常に整っています。しかし、日本のいわゆる「バリアフリートイレ」であっても、実は利用できない人もいるのが現状です。
- 大きな電動車いすでは、車いす用トイレでも狭くて使えない人がいます。
- 介助用のベッドがなくて、大人でおむつ替えできない人がいます。
- 手すりが固定されていて、便座に移動できない人がいます。
- 背もたれがないと、体を安定させて座れない人がいます。
トイレの設備自体を変えるには、大きな予算が必要です。しかし、必要な情報を届けることで対応することができます。それでは「どんな情報」が必要なのか、東京都を例にご説明します。
トイレのオープンデータ好事例(東京都)
WheeLog!では東京都のオープンデータ7000件以上をアプリに登録しています。東京都のオープンデータは、質の高い情報で、車いすユーザーからは、お出かけの際に非常に助かると好評をいただいています。実際に街を歩いているときに、東京都内でアプリで開けば、バリアフリートイレがどこにあるかすぐにわかります。
東京都のデータの特徴としては、以下の3点が挙げられます。
1. 位置情報(緯度経度)がある
住所情報だけだと、広い施設のどこにトイレがあるのかわからないため、地図上に表示するのが難しくなります。緯度経度の情報があると、WheeLog!のような地図アプリで情報を活用できるようになります。
2. 設備の有無がわかる
手すりや背もたれ、介助用ベッドなど、設備の有無がわかることで、絞り込み検索ができるようになります。これによって、その設備を必要とする利用者の方に、適切に情報を届けることができます。
3. すべてのトイレに3枚の写真
東京都ではバリアフリートイレの入り口、便座周り、その他設備について、3枚の写真で情報提供しています。
バリアフリートイレの利用者が必要とする情報は千差万別です。
- 手が上がらないので、鍵は低い位置にあるかな
- 介助者と二人で入るので、トイレの広さはどれくらいだろう
- 片麻痺があるので、手すりの位置は左右どちらかな
すべての情報を文字で伝えることも可能ですが、写真ならわかりやすく伝えられます。まさに「百聞は一見に如かず」です。
WheeLog!にデータを取り込むなら
WheeLog!ではバリアフリーデータを一括で取り込みできるシステムをご用意しております。しかし、すべてのデータを取り込むのではなく、東京都のような「車いす利用者が必要とする情報」を精査して取り込んでいます。以下のようなデータの場合は取り込みに困るため、東京都の事例を参考に提供データをご検討ください。
取り込みに困るケース
- 広い施設の「どこに」「いくつ」車いす用トイレがあるかわからない
- 設備や写真の情報がなく「車いす用トイレあり」という情報しかない
有益な情報を車いす利用者の元に
本日は、オープンデータの専門家である庄司昌彦先生に、今後のオープンデータ活用についてオンラインでご指導いただきました。その中で先生は「近年、自治体の職員さんがオープンデータに対して積極的に取り組まれるようになった」と語られていました。
これからオープンデータの取り組みが更に加速され、有益な情報を自治体さまからご提供いただけることを願っています。この記事がそのお役に立てますと幸いです。
WheeLog!としても、日本のどこに行っても車いすユーザーがバリアフリートイレを見つけることができ、安心して外出できる社会となれるよう、データ活用の取り組みを進めてまいります。