【イベントレポ】WheeLog! in 墨田 2023秋 車いす街歩きイベント

2023年9月16日(土)に東京都墨田区で「WheeLog! in 墨田 2023秋」イベントが実施されました。WheeLog!墨田のメンバーからレポートをいただきましたので、ご紹介します。

背景

前回7月に開催した街歩きイベントに引き続き、作業療法士を中心にリハ職の方を中心に、関心の高い層があつまりイベントへ積極的に真剣に取り組んでいる印象でした。とくに振り返りのワークでの付箋の数が過去最大だったのではないかと。一方で楽しんでる様子もしっかりあった。業者さんの協力も欠かせないので非常に助かりました。大場さんに代表として挨拶をしていただいたが、リハ職・医療職を中心に墨田区がなっていくことを期待できそうだと強く感じました。

各班の街歩きの様子

・A班
A班のミッションは「八広中央通りを散策しよう」
電動カートを利用されている方は「八広中央通りは通らないようにしている」と言っていた通り、歩道が狭く歪んでいるところが多々ありました。地域の中でも、通りにくい場所や怖いと感じる場所を把握し避けながら生活されていると知ることができました。右の図は、文化祭の様子です。「車椅子に乗ってても楽しみたい」との思いで寄ってみました。このような大きな施設には、必ず車椅子用のトイレやエレベーターが設置されていました。高校生達は車椅子ユーザーの対応に少し困っている様子でしたが、WheeLog!などのイベントを通し、車椅子の方と接する機会が増えればいいなと感じました。

・B班
車いすユーザーの方や高齢者支援センターを利用している方、実習に来ている学生さんと様々な年代、職種の方がいて様々な意見を聞くことができました。わたしは医療職種であり、知識的には車いすについてありましたが、実際に体験して感じる感覚はこのようなイベントがないとできないと感じました。また、様々な方がいることで色々な意見や視点を共有できるため、伝え方や受け取り方を考える良い機会でした。車いすを利用する人に対して社会はまだまだソフト、ハードともに十分出ないと感じたし、このような活動を通して車いをユーザーの社会参加に寄与できれば良いなと感じました。

・C班
メンバーの中に普段から電動カートで外出している方がいらっしゃいました。その方は周りに迷惑をかけないようにと、普段から気を遣って外出しているとのこと。スーパーの中では電動カートを使用してはいけないものだと自分で考え、電動カートは入口付近に置いて店内を歩いて移動していました。ところが店員さんに確認したところ、電動カートで店内を移動しても問題はないとのことが分かりました。次回からは一人でも広い店内全てを歩かなくても買い物が出来ると喜ばれておりました。
 今回の街歩きでは道幅が狭く、人通りも多い商店街を歩きましたが、電動カートユーザーの方が人一倍周囲に気を遣いながら外出していることがよく分かりました。歩ける人も移動補助具を使用している人もお互いに気を遣う必要はあると思いますが、必要以上に気を遣ってしまうことで外出のハードルが高くなってしまっているケースが他にも多くありそうだと感じました。このようにユーザー目線で街の中にあるハード面、ソフト面におけるバリアだけではなく、社会的なバリア(周りからの視線や周りへの過剰な遠慮)の存在にも気づけるのはWheelog!のイベントならではの体験だと思います。また、社会的なバリアに対しても周囲の支え合いがあることで、それらを乗り越えて安心して外出できる世の中に、一歩近づけることを感じられました。

・D班
ミッションは「スーパーで買い物してみて車椅子で不便な点を考えてみよう」で車椅子で街にあるスーパーに入り、高い棚にある物が取れないこと、レジの精算機が高く清算が難しいこと、周りの視線などハード面、ソフト面でバリアを感じました。車いすユーザーの方を見かけた時には気軽に「お手伝いしましょうか」とお声がけできる雰囲気が作れればいいかと思いました。余計なお世話ではないかと考えてしまいますが、自然に声をかけられるようなソフト面のバリアフリーが必要だと思います。

・E班
車椅子を使用すると、道が整備されているかや段差の有無に注意を向けがちでしたが、排水溝にタイヤがはまることがあり、あまり意識していない部分にもバリアがあることを知りました。また、初めて車椅子を使用した参加者もおり、街中で車椅子を使用する良さ・難しさを感じていたことは街歩きイベントならではの出来事だと感じました。

・F班
いつも街歩きに参加させて頂くと、兎角バリアの方を強く意識させられる事が多いのですが、今回電車に乗車させて頂いた事で鉄道職員様の迅速な対応を体験させて頂きました。また、今回初参加の方からは「今後街で車いすユーザーの方を見かけた時に、声をかけやすくなった。」とのお声がありました。自ら体験する事で、どこが困るポイントなのかを理解できた、との事。体験の重要性を再認識しました。

・G班
電車に乗車したので、かなりの数のエレベーターを利用できました。並び方のマナーやどうしたら使いやすいかも考え、有意義な体験のひとつでした。また、エレベーターの先に階段のルートしかないというトラップのような構造で困った。一応案内はありましたが、もう少しわかりやすくしてほしいと感じました。

アプリにバリアフリー情報を投稿

今回で増えたバリアフリー情報(一部)

気づきの共有時の様子

各グループかなりの気づきがあったようで、みなさん積極的に参加され、書き出された付箋の数も過去最多枚数だったのではないかという数でした。共有時に「こういうのあったよね」「あそこは問題だよね」みたいな会話も多々あり、みなさん積極的に発言もされてたように感じました。

まとめの発表時の様子

今回は各班のまとめが非常に個性的で、楽しく発表が進んで行きました。各班それぞれに気づきをうまくまとめているなという印象でした。やはり、はじめて車椅子に乗る人も多かったので、傾斜のある歩道が歩きにくいなど、定番の部分や体験が大事ということにも気がつけていたようでした。今回は非常に学びの質が高かったなと感じます。

振り返りシートのまとめの一言

A班:1人で悩むよりみんなで遊ぶ
B班:気づきのチェーンメール
C班:周囲の支え合いがあれば、車椅子でも安心して外出できる!!
D班:薬膳カレーが食べたい!
E班:こんなにも障害物が多い事を車いすを使用しない方にも知ってほしい!
F班:体験によって意識が変わり、行動が変容する。
G班:台東区から見た墨田区の良さ

振り返り時の参加者のコメント

・体験した事をいろんな人にチェーンメールのように伝えていくと広がっていく。
・八広中央通りは車いすでとても走りにくい(歩道が狭い・傾斜がある)
・高校の文化祭に参加したら高校生たちが困っていた。
・エレベーターに割り込む人もいた。エレベーターがあったがその先に階段しかなくアクセスできなかった。
・(車椅子ユーザーの方)怖くて渡れなかったが、初めて車椅子で踏切を渡れた。
・電動カートの店内利用について聞いてみたら大丈夫だった。まずは聞いてみることが大事
・知らない通りすがりの人に気軽にサポートを自然に頼めるようになるといいとおもった。

インタビュー

S.Sさん、会社員(コンサルティング)、男性、歩ける人
・車椅子で街に出るのは初めてで今まで知らなかった体験ができて勉強になった。
・車椅子に乗ってて目線がいつもより低くなるので張り紙とかが見にくいなど様々な気づきがあった。
・バリアやバリアフリー情報の発信の重要性を感じたし、活用していくと便利になると感じた。

K.Nさん、学生、男性、歩ける人
・車椅子はけっこう楽しい。地面は平行ではなく、道路のあらゆるところが歪んでいると気がついた。
・自分がもし車椅子を使うならおしゃれな車椅子がほしいなと思った。ただの移動の道具ではなく、ファッションや楽しむツールととらえるといいなと思った。
・アプリが重くとまったりしてたので改善してほしい。食べ物の情報の充実がとても大事だと思う。

A.Yさん、会社員、女性、歩ける人
・ぜんぜん異業種なので知らない情報がたくさん入って来てとても勉強になった。
・車椅子は意外と座りやすく快適だったが、傾きや坂が大変、段差も躓くし、電車のホームも怖い。
・アプリの存在を知らなかったのでいろんな人に教えてみんなで作っていけたらいいと思う。

T.Tさん、会社員(福祉用)、男性、歩ける人
・普段、車椅子を扱っている業者だが、毎回、新しい発見があるなと感じた。
・車椅子は機種ごとの違いがあるので利用者に合わせなければいけないと感じた。
・WheeLog!を仲間に教えていきたい。多くの人が気軽に投稿して行けるようになれば良いと思う。

まとめ

今回の感想

前回の参加いただいた皆さんに加えて、今回は新たに医療(リハ職など)や介護分野の方、そして知人・友人を誘い、多くの参加があった。また地域の高齢者、参加者の子どもと多世代の交流があった。さらに墨田区役所の方(高齢福祉課・障害者福祉課)や区議会議員など幅広く参加があり、車いす街歩きへの興味関心の高さを知ることができた。終了後に複数の参加者から次回はいつ開催するのかの問い合わせがあった。また、今回は都合で参加できなかったり、急遽欠席となった方からも、次回は参加したいと連絡があった。、この街歩きは1度きりのイベントとして終わらせるのではなく、継続して行うことで、地域がより活性化しネットワークが広がっていくと考える。

街歩きを通して、個別の高齢者で効果を見ていくと、①閉じこもり傾向の男性が2回(最初から最後まで)とも参加した。②30年以上電動車いすを利用している男性が、今まで避けていた踏切を渡る経験ができ、移動範囲が拡大した。③ハンドル型電動車いすを利用している男性が、自宅近くに飲みに行けるお店を見つけ、居場所が増えた。こういった個別ケースで具体的な効果を示すと、より街歩きを行う意味づけが強化されると思う。
また、男性高齢者の出番と居場所づくりが地域課題となっている。地域の様々な通いの場において、参加者は女性が圧倒的に多く、男性高齢者の社会参加(社会的交流)は全国共有した地域課題である。前述した3事例とも男性であったが、可能性として男性高齢者が比較的参加しやすいイベントであるかもしれない。
いずれにしても。車いす街歩きの地域づくりへの活用は、ポテンシャルを秘めていると感じた。

今後の展望

八広はなみずき高齢者支援総合センター、墨田区、東京都作業療法士会、サンメディカルの協力で開催に至ったが、この協力者をさらに広げていくことが展望の1つである。2回の街歩き開催で地域の人材が増えたため、継続的に行うための計画と準備が必要となる。
リハビリテーション職が多く参加しており、それぞれの職場等の地域で車いす街歩きを開催をしたいと希望があった。今後、墨田区での街歩きをハブとして、他の地域に発展させていくための仕掛け作りが次の展望である。

イベント概要

イベント名:WheeLog! in 墨田 2023秋
開催日時:9月16日(土) 10:30〜17:00
開催場所:八広はなみずき高齢者支援総合センター
参加費用:無料
参加人数:49名(歩ける人:43名、杖:1名、車いすユーザー:5名)

▼開催団体
主催:WheeLog! in 墨田実行委員会、一般社団法人WheeLog
後援:墨田区、東京都作業療法士会
会場提供:八広はなみずき高齢者支援総合センター
車いす提供:株式会社東京サンメディカル
飲料提供:アサヒグループジャパン

本イベントは令和5年度独立行政法人福祉医療機構社会福祉振興助成事業の一環として実施しました。

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