【イベントレポ】WheeLog! in 町田 2023秋 車いす街歩きイベント 

2023年9月30日(土)に東京都墨田区で「WheeLog! in 町田 2023秋」イベントが実施されました。WheeLog!町田のメンバーからレポートをいただきましたので、ご紹介します。

背景

まさに老若男女!大学生から後期高齢者(?)と思われる方まで、「町田の街歩き」という呼びかけに集まった約50名。中には介助犬を連れた方や留学生の姿も。受付を済ませると先ずは指定されたグループの島へ行き、その後半日を共にする方々との顔合わせ。かしこまって挨拶をする方、既に旧知の仲間の中に入るように「こんにちは」と着席する方、緊張気味に会釈を返す方など様々な動きがみられました。

10時30分、軽妙な、そしてテンポの良い司会でスタート。共催である町田市生涯学習センター担当課長の挨拶が済むと今日一日の流れとミッションの紹介。このあたりになると会場の雰囲気も和らぎ、司会者のギャグに反応した笑い声も聞かれるようになりました。

一通りの説明の後、各グループでの自己紹介。参加動機や仕事等を各自紹介し、グループ内での役割決めが終わり、ミッションカードを引いて行き先が決まるころには皆さん一気に打ち解け、出発前の班写真を撮って町田の街に「いざ!」出発しました。

各班の街歩きの様子

・B班
車いすも介助犬も大丈夫!machidaはいいmachida!

・C班
薬師池公園までのバス移動も問題なし。運転手さんのキビキビした対応に感謝です。

・D班
ダリア園の花が綺麗!中心部から離れると道がデコボコ、おまけに坂が多いことが分かりました。

・E班
MXTVの取材付き。芸能人気分でせりがや公園を散策しました。

・F班
グランベリーパークまで鉄道で移動。鉄道会社によって対応が違うことを知りました。

・G班
せりがや公園のアップダウン。車いす乗車体験をして分かった障がい者目線。せりがや公園のアップダウン。車いす乗車体験をして分かった障がい者目線。

・H班
電車を乗り継いでスヌーピーミュージアムへ。駅員さんの対応が素晴らしい。スヌーピー最高!

アプリにバリアフリー情報を投稿

気づきの共有時の様子

様々な気づきが発表されましたが、車いす関連では
〇車いすに乗車すると目の高さが変わりいつもの街の姿が変わる
〇車いすは道のデコボコをまともに受けてしまい、乗り心地が良いものではない
〇買物をする時、棚の上の方の商品に手が届かない
といった車いすに乗車したことで初めて気づいたことが発表されるとうなずく方が多く見られました。

人との関わりに関しては
〇施設の職員さん、買物する時の店員さん等のやさしさがあった。
〇電車の移動には駅員さんがいれば行ける
といった「人の暖かさ」や「障がい者に配慮した仕事の姿」の発表があり、今回お店や交通機関を利用しなかったグループにもこれらは伝わったのではないでしょうか。

まとめの発表時の様子

午前10時30分に集まった時は、よそ行きの顔でしたが、「街のバリアを探す」「車いすに乗車する」といった共通の目的を持って街歩きを終えた各班のメンバーはすっかり打ち解けて様々な気づきが出ていました。発表の内容では「バリアフリー」、いうなればハード面での気づきが多く出されましたが、与えられたミッションから公共交通機関の職員さんの対応についての発表があったり、行った先の施設・店舗等のサービスや対応などソフト面での気づきも出されました。

振り返りシートのまとめの一言

B班:もっと充分なバリアフリー求む!
C班:まちだはたのしいまちだ
D班:ダリアフリーを目指して
E班:みんなフラットな関係性が良い!
F班:ぶらり遠征(沿線)の旅
G班:(バリアフリー化には)当事者目線が必要
H班:スヌーピー最高!
I班:今までの目線を変える!また気づく!

振り返り時の参加者のコメント

振り返りの時、多く出されていたのが、初めて車いすに乗車した方たちから聞けた「目線の高さの違い」ということでした。車いすに座ると目の高さはほぼ130cmcmくらい。普段より低い位置から見る街の景色に、驚きと見えていたものが見えなくなった恐怖を感じたかもしれません。このことは、振り返りのまとめに出てきた「当事者目線が必要」「今までの目線を変える」といったことにつながっていったと考えられます。こうした新鮮な驚きをすべての方が大切にしていけると良いですね。

インタビュー

学生
大学で福祉関連の授業を受けていて、そこで紹介があり参加しました。日常、車いすユーザーさんは見ますが実際に乗ったのは初めてで、視線の高さの違いや小さな段差でも乗り越えるのに大変だったりと普段気づかないことに気づいたことなど、良い経験ができたと思います。イベントでは初めて会った方達と仲良くなりさらに車いすやバリアフリーの理解も深められるので、参加したら自分にとって良いものになるのではないかと思います。今日は、車いすユーザーさんのためというより自分のためになった一日でした。

HMさん 社会人(作業療法士)
職場の方から紹介を受けて参加しました。今年から働き始めて、隣の相模原市に住んでいるのですが、町田はあまり知らずにいて、町田の街を知ることのきっかけが車いすユーザーさんの目線、介助者目線で歩けたのは貴重な経験になりました。このイベントを他の方に紹介する時は「今まで見えていたものと違う世界が見えますよ」「実際の仕事では体験できないような利用者さんの目線にたつ良い機会ですよ」といったことを伝えたいと思います。

MKさん 学生
アルバイトで重度訪問介護に携わっています。参加のきっかけはWheeLogさんに関わりのある利用者さんからの紹介で、私自身もバリアフリーについて学びたかったので参加しました。実際に街を歩いてみて、車いすの仕様の違いや街自体にも様々な特徴があることが分かったので、いろいろな街を歩いてみたいと感じました。特に障がいのある方とかかわりのない方でも気軽に参加できて、支援の仕方も増えてくるので多くの人に街歩きイベントを紹介したいと思います。

まとめ

今回の感想

初めて参加する方にとっては、すべてが新鮮だったと思います。特にグループ構成は、自分の親よりも年上の方や自分の孫と同じくらいの年齢の方、医療や福祉関連事業所で働く方、無職の方、学生さん等々。何事もなければ話すこともない方々とミッションをクリアするために話し合ったり食事をしたりと、日常あまり経験することのない時間を過ごしたのではないでしょうか。また、実際に車いすに乗ってバリアをさがすということ、つまり目視での「発見」ではなく「体験」して身体で感じることは、他の方に伝えるときもより臨場感の高いものになっていくと思われます。

今、ユーチューブ等で車いすの操作等について学習することはできますが、ほんの1cmの段差に車いすの前輪がゴツンとぶつかって身体に伝わってくる振動は体験以外ではできないものです。初めて車いすに乗車した参加者が「こんな小さな段差もバリアですね」といった言葉が「街のバリアの発見」のすべてをものがたっているのかもしれません。

今回の街歩きの参加した方で介助犬を連れて来た車いすユーザーさんがいました。介助犬は訓練されていて他人に危害を加えることはありませんが、やはりその大きさから身を引く参加者もあり、介助犬の説明がないままだったことに少し不安を感じました。また、知っている限りですがペースメーカーを入れた内部障害者、補聴器をつけた聴覚障害者等の参加もあり、もしかするとオストメイトの方もいらっしゃったかもしれません。介助犬への対応方法や外見では分かりづらい障がいのある方々への配慮等、ご本人から申告のあった時はこうした障害のある方の声をきき、障がい特有のバリアを参加者に伝えることで、街のバリアの発見と同時に、様々な障がいへの理解が深まっていくのではないでしょうか。 

今後の展望

上記の「こんな小さな段差もバリアですね」をより多くの方々に知っていただきたいと思います。堅苦しい「街のバリア発見講座」は行政にお任せして、「参加して楽かった」「あっという間に時間が過ぎた」「気になっていたことが分かった」等といった感想の出るような、そして「笑顔で帰る」そんなイベントづくりをめざしていければ良いのではないでしょうか。

最後に

イベント概要

イベント名:WheeLog! in 町田 2023秋
開催日時:9月30日(土) 10:30〜17:00
開催場所:町田市 まちだ中央公民館 町田市原町田6丁目8−1
参加費用:無料
参加人数: 48名(歩ける人: 39名、車いすユーザー: 9名)

▼開催団体
主催:一般社団法人WheeLog
共催:町田市生涯学習センター
後援:町田市社会福祉協議会、東京都作業療法士会、東京都介護福祉士会
運営協力:特定非営利活動法人 ハンディキャブ友の会

本イベントは令和5年度独立行政法人福祉医療機構社会福祉振興助成事業の一環として実施しました。

上部へスクロール
Skip to content