車いすで旭川の観光名所をめぐる!観光スポットのバリアフリーと移動方法をご紹介

こんにちは。ウィーログ事務局のマツシタです。

11月にUniversal MaaS(ユニバーサルマース)の「一括サポート手配(実証実験中※)」のサービスを使って、車いすで北海道の旭川を観光してきました。

今回は手動の車いすで羽田空港から出発し、旭川空港、旭川駅前、そして旭川エリアの観光地をめぐりながら、車いすユーザーとして詳細なバリアフリー調査を行いました。

この記事では、車いすで旭川を観光する時の「観光スポット」のバリアフリーと「移動方法」についてご紹介します。ぜひ車いすで旭川を訪れる時の参考にしてみてください。

※実証実験の詳細は以下をご覧ください。https://www.anahd.co.jp/group/pr/202310/20231019.html

Universal MaaS(ユニバーサルマース)って何?

みなさん、Universal MaaSという取り組みをご存知でしょうか?この取り組みはANAが中心となってはじめた産学官連携プロジェクト(航空会社や鉄道会社、バス会社、タクシー会社、自治体、各種企業・団体など)で、車いすユーザー等の移動をサポートする取り組みです。

Universal MaaS = ユニバーサルデザイン×MaaS (Mobility as a Service)

​何らかの理由により移動にためらいのある方々(移動躊躇層)が快適にストレスなく移動を楽しめるサービス。出発地から目的地まで移動する際に必要な情報(運賃、運航・運行状況、ルート、スポット情報等)をお客さま(利用者)側に提供すると共に、お客さま自身の位置情報や特性情報、希望する介助内容等を各サービス提供者(事業者)側に共有するなど、まずは情報を繋ぐことに注力。

https://universal-maas.org/

ウィーログでもこれまで、Universal MaaSと協力して取組を進めてきました。横須賀札幌などで車いす街歩きのイベントを開催したり、Universal MaaSが自治体等に提供する「ユニバーサル地図/ナビ」にはWheeLog!に集められた情報を提供したりしています。

「一括サポート手配」で旅行の移動をスムーズに

このUniversal MaaSが提供するサービスのひとつに「一括サポート手配」があります。このサービスの特徴は、車いすユーザーなどがこれまで電話でバスや電車、タクシーなどの各会社にそれぞれしていたサポート依頼の予約を、一括で取りまとめて「ネット予約」できることです。

お客さま【事前準備】1.観光ウェブサイト(旭川市 旭山動物園)または美瑛町 白金青い池、2.経路検索 、3.サポート依頼、 事業者 受託手続き、 お客さま 4.手配状況確認、【当日移動】5.確定経路、【設定】旅 程一覧確認、旭川市シンボルキャラクター「あさっぴー」のイラスト
一括サポート手配のサービスイメージ(https://universal-maas.org/one-stop-support-arrangements

今回はこの「一括サポート手配(実証実験中)」のサービスを利用しつつ、バリアフリー調査もかねて、車いすで旭川を観光してきました!

地方空港はアクセシブル!?「旭川空港」

旭川の玄関口となる旭川空港。今回はAIRDO/ANAコードシェア便を利用して羽田空港から旭川空港に移動しました。空港に着いたら荷物カウンターで無事に車いすを受け取り、到着ロビーへ。

旭川空港は1階が到着ロビー、2階が出発ロビーになっていて、車いす用トイレも各階に複数あります。エレベーターや身障者用駐車場も完備されていて、2階にはフードコートもあり、1階にはサービスカウンターもあります。

コンパクトな地方の空港なので、到着ロビーからバス停までは2〜3分で移動できます。バスの自動券売機も車いすで難なく利用できました。

今回は直前の予約となったため、ノンステップバスは手配できなかったので、車いすを預けての乗車となりましたが、車いすのまま乗車が必要な方は、飛行機の予約に合わせて、早めに(3日前までに)以下の「一括サポート手配(実証実験中)」を利用してバスやクルマ(タクシー)を手配しておくのをオススメします。(https://tabicube.com/web/ja/route-um/search

ゼロ段差で車いすでも快適な旭川駅前

旭川で観光する場合、多くの人が旭川駅前に滞在すると思います。駅前は基本的に平坦で、横断歩道の段差もゼロ段差になっていて、車いすでの移動が快適です。お店に関してはまだまだ段差があるところも多いのですが、駅前のイオンや観光案内所などはバリアフリーでお買い物やお食事も全く困りませんし、駅前に車いすで入れるお店もあります。

車いすでも公共交通で行けた!感動の景色の「白金青い池(美瑛町)」

事前予約でバス移動(道北バス)

今回は道北バスを利用して白金青い池(美瑛町)まで行きました。

旭川駅から白金青い池までのバス(美瑛町)は、1日に4本運行しています。ただ、このバスは空港と同様、通常は車いす対応のバスではないため、事前予約が必須です。

通常、バスを手配する時は、電話をかけて予約する必要がありますが、今回は「一括サポート(実証実験中)」を使ったため、空き時間にスマホで簡単にネット予約できて便利でした。

当日は車いすのままスロープを使って乗れるバスが手配されていて、無事に目的地まで行くことができました。乗降用のスロープは角度が急でしたが、バスの運転手さんがしっかり介助してくれ、無事に乗降できました。

観光地はバリアフリー

白金青い池(美瑛町)は、昔はあぜ道だったそうですが、観光客の増加にともない歩道が整備され、車いすでもアクセスしやすくなりました。車いす用の駐車場やトイレ、鑑賞スペースなども整備されていて、受け入れ体制がバッチリです。

今回は帰りのバスの時間もあり、滞在時間は10分程度でしたが、美しい景色を見ることができ、また地元の方の優しさにも触れることができ、とても感動的な体験となりました。

車いすで利用する際の注意点

①バス停から池までは迂回が必要

バス停からの歩道が一部舗装されていないため、車いすだと車道を迂回する必要があります。バス停から池まで自走式の車いすで10分ほどかかり、往復だと20分ほどの移動になります。

②帰りの移動手段について(バス・タクシー)

道北バス利用は滞在時間が約30分、旭川中央交通(タクシー)利用だと帰りの時間指定が可能です。

帰りもバスを利用する場合は、バスを降りてから約30〜40分後に来るバスに乗車します。それを逃すと数時間待つことになります(時刻表はこちら)。そのため、池での滞在時間は実質10分程度になります。

景色をゆっくりと楽しみたい方は、「一括サポート(実証実験中)」で「クルマ」経路を選択して、旭川中央交通(UD車両・福祉輸送車両貸切観光)を手配することをオススメします。

③スロープが急

駐車場から池までのスロープが急で長いです。自走式の車いすの人は介助者同伴をオススメします。今回は自走式単独で行ったのですが、長いスロープを見た瞬間、あきらめました。しかし、偶然、居合わせた地元の夫婦の方が「押しましょうか」と手伝ってくださり、無事に池まで辿り着くことができました。

バリアはあるけど車いすにやさしい「旭山動物園」

路線バスで40分(旭川電気軌道)

旭山動物園へは、旭川駅から旭川電気軌道の路線バスで40分ほどで行けます。路線バスは「一括サポート(実証実験中)」で予約をしましたが、予約がなくてもスロープ付きのバスであれば快く対応していただけます。スロープは少し傾斜がありますが、運転手さんが介助してくれてスムーズに乗ることができました。

帰りは予定よりも早く見終わったため、予約なしで直接バス停に行きましたが、乗車対応していただきました。もちろん、100%スロープ対応とは限らないため、「一括サポート(実証実験中)」で事前予約しておくと安心です。

坂道のバリア

旭山動物園は山の中にあるため、どうしても地形上「バリア」です。そのため、自走式の車いすで訪問する際は介助者の同行が必須です。また電動車いすでも傾斜が急な場所もあるため注意が必要です。

混雑時にうれしい優先エリア

しかし、坂道の課題さえクリアしてしまえば、あとは車いすでも楽しんで見て回れます。特筆すべきは、車いす観覧スペース!人気のペンギン、ホッキョクグマ、あざらし、エゾヒグマのエリアには、車いす観覧スペースが設けられていて、混雑しがちな場所も優先して見れるようになっています。

その他の館内についても、子ども用に設計されているためか、車いす目線でとても見やすく設計されていました。特にかば・きりん館は間近でキリンが見れるのでオススメです!

バリアフリー対応もしっかり

園内には無料の休憩所がたくさんあり、車いす用トイレもエリアごとにしっかり整備されています。動物ごとに〇〇館と分かれていますが、2階建てのところはエレベーターがあって動線が確保されています。

山という地形なのでバリアはあるけれど、車いすユーザーへの配慮が行き届いた車いすにやさしい動物園です。ぜひご家族や友人と訪れてみてください。

旭川のバリアフリーなおすすめ飲食店3選

旭川といえば「ラーメン」ということで、有名店に車いすで行ってきました。今回は旭川駅前にある「梅光軒」と「青葉」を訪れましたが、どちらも少し入口が狭かったものの、店員さんの対応があたたかく、ラーメンもとてもおいしかったです。

また、バリアフリーに力を入れたお店「もめんどき」もおすすめです。美味しい旭川の旬のグルメを楽しめます。バリアフリートイレも完備していて、お店の方の対応も丁寧で、安心して利用できます。

旭川ラーメン 梅光軒 旭川本店

旭川ラーメンの有名店。ホテルのおすすめマップに載っていたので来てみました。訪問時はランチで比較的お店が空いていました。

お店は地下一階なのでエレベーターで降ります。ビル入口に案内がありますが、向かって右から迂回すると入口に段差があります。ちょうど車も止まっていて入れませんでした。お店向かって左側にコンビニがあり、奥のビルに通り抜けることができ、エレベーターに辿り着けます。こちらの方が段差もなくスムーズです。エレベーターは車椅子用ではありませんが、奥行きがあり、お店も地下一階なので、ボタンは押せました。エレベーターを降りるとすぐ横にお店があります。

入口が狭いので、大きめの車椅子は厳しいかもしれません。一般的な自走式だと通れました。車椅子を見て店員さんがレジ横の4人掛けのテーブルから椅子を退けて、車椅子用に席を用意してくれました。とても手慣れていて、すぐに着席できました。店員さんに聞くと、車椅子ユーザーの方もよく来られるそうです。

最後は店員さんがエレベーターを呼んでお見送りしてくれました。ラーメンはもちろんのこと、接客対応も素晴らしいお店でした。

https://app.wheelog.com/?spotId=137681

旭川らぅめん青葉 本店

旭川ラーメンの老舗。たくさんの有名人が訪れるお店です。正油チャーシューを頼みましたが、本当に美味しかったです。

お店の方がとても親切で、気さくに話しかけてこられます。特に女将さんがとても穏やかですごく心地よかったです。車椅子を見てすぐに「ここがいいね」と入口すぐのカウンターを空けてくれました。カウンターも高さがちょうど良かったです。

お店の出入口の間口が狭くてギリギリなので、コンパクトな車椅子なら大丈夫ですが、大きいものだと難しいです。ここさえクリアできれば、本当におすすめです!

https://app.wheelog.com/?spotId=137734

もめんどき

観光庁心のバリアフリー認定制度の取得店。入口が少し段差があり、入るのが難しいですが、段差解消ブロックが置かれていて、大型車椅子以外は介助の方がいれば可能かと思います。

1人で利用しましたが、カウンター席の椅子をのけてすぐに席を用意してくださいました。オーナー・店主さんがバリアフリーに力を入れられているそうで、店内に車いすで入れるトイレがあります。掘りごたつも車いすの方がちょうど良い高さに作られているそうです。お店の方もトイレや帰りの際に扉を開けるなどの対応をしてくださいました。

お料理はお魚や旬の食材を使った和の料理で、とても美味しかったです。段差があって少しためらいましたが、味もサービスもとても満足いくお店でした。近くの系列店(のらくら・マチバル)もバリアフリー対応とのことです。

https://app.wheelog.com/?spotId=137687

これからに期待☆一括サポート手配

予約なしに、いつでもどこへでも車いすで移動できる社会が理想です。しかし、そのためには今の現状の課題を一つひとつ解決していくことが大切です。

今回の体験を通じて、設備や人手・資金が限られる中で、車いすで少しでも快適に移動するための「工夫」が、この「一括サポート(実証実験中)」だなと実感しました。今までは縦割りで一つ一つ予約をしないといけず、旅行をあきらめる人も多かったのではないでしょうか。このサービスひとつで予約完了できれば、随分と負担が軽減すると感じました。

旭川で実証実験中

この「一括サポート手配」は、いま旭川で一般公開の実証実験が行われています。

・2023年10月19日(木)より旭山動物園と白金青い池(美瑛町)を訪れる方々を対象に「一括サポート手配」「ユニバーサル地図/ナビ」の実証実験を開始します。

・Universal MaaSの一般公開実証実験は旭川大雪圏が初めてであり、旭山動物園や白金青い池(美瑛町)の公式ウェブサイトから、どなたでもご利用いただけます。

・本実証で、様々なお客さまにご体験いただき、お客さまおよび自治体/地域/事業者側の現状課題を検証し、安心・安全・確実な移動ができるようなシステムの構築を目指します。

https://www.anahd.co.jp/group/pr/202310/20231019.html

現在の旭川でのサービスは、車いす対応のバスやタクシーを予約できるようになっていて、コースとしては「旭川空港/旭川駅/旭川市役所」「旭山動物園/白金青い池(美瑛町)」をつなぐ経路が利用可能です。

サービス自体は、まだまだ課題がありますが、課題があるサービスだからこそ、より多くの方の協力が欠かせません。実証実験は一般公開されているので、旭川の旅行を検討されている方は、ぜひこのサービスを試してみてご意見をお聞かせください。

この実証実験を通じて、「一括サポート手配」が全国的に広がり、車いすでも移動をあきらめない社会が広がっていくのを期待しています!

旭川のバリアフリー情報が集約!

今回の旭川観光ではバリアフリー調査も行いました。計4日間でバリアフリーのスポット123件、車いすで通れる道(走行ログ)18kmをWheeLog!アプリに投稿しました。この情報は「ユニバーサル地図/ナビ(旭川市版:実証実験中)」にも反映されています。

今回の記事では紹介し尽くせなかったその他の情報も、すべてWheeLog!アプリに投稿されています。また、調査した情報だけでなく、他のユーザーの方が投稿された情報もあるので、ぜひ旭川に行く時はWheeLog!の情報を参考にしてみてください。

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