【視察レポート】車いすも視覚障害者も歩きやすい佐世保市のバリアフリー歩道

皆さんは「バリアフリーな街づくり」と聞いて、どのような工夫を思い浮かべるでしょうか?

今回は、2026年5月に長崎県佐世保市を視察して学んだ「段差解消とバリアフリーの先進的な取り組み」についてご報告します。現地を歩いてみて特に感銘を受けた、3つの素敵な事例をシェアさせていただきます!

① 「区画分離」による画期的な横断歩道整備

今回の訪問でまず目を引いたのは、横断歩道整備における「区画分離」の手法です。

これまでの横断歩道では、「視覚障害者のための点字ブロックの凹凸が、車いす利用者にとっては走行の妨げになってしまう」という、双方にとって相反する課題がありました。

そこで佐世保市では、視覚障害者用の点字ブロックと、車いす利用者のための待機・走行区画を明確に分けて配置しています。

点字ブロックを視覚障害者の誘導路として機能させつつ、車いすが円滑に横断歩道に進入・退出できるフラットな区画を確保する設計上の工夫を凝らしています。これにより、視覚障害者の安全な誘導と、車いす利用者のスムーズな移動という、対立しがちな二つの安全・快適性を見事に両立させています。この取り組みは佐世保駅前を中心に、周辺の歩行空間で広範囲に展開されています。

② アーケードの段差解消の取り組み

佐世保市の中心部には、四ヶ町商店街と三ヶ町商店街からなる「さるくシティ4〇3(ヨンマルサン)アーケード」があります。全長は約960mに及び、直線に繋がったアーケード街としては日本一の長さを誇ります。

この広大なアーケード街では、ほぼすべての店舗が段差なしで入店できるバリアフリー対応を実現していました。 基本的には、アーケードの歩道と店舗入り口の間に段差がほとんどなく、スロープ状に滑らかに繋がっています。

さらに、構造上どうしても段差ができてしまう店舗には、その店舗専用にしつらえた「特製常設スロープ」が設置されている事例が多く見られました。これは、個々の店舗がバリアフリー化の重要性を深く認識し、積極的に対応していることの表れであり、街全体として「移動の自由」を確保しようとする意識の高さが伺えます。

店舗側が常設スロープを提供することで、車いすやベビーカーの利用者、高齢者などが気兼ねなく商業施設を利用できる環境が整備されている点は、他地域にとっても大変参考になる取り組みだと感じました。

③ 点字ブロックの「切り欠き配置」と当事者参画

もう一つ、佐世保市で特徴的な取り組みとして挙げられるのが、点字ブロックの「切り欠き配置」です。これは、車いすの車輪が通る場所に合わせて点字ブロックを部分的に切り欠くことで、通過時の振動による身体的負担を軽減しつつ、視覚障害者向けの誘導の連続性も担保する工夫です。

近年、国土交通省などでも実証実験が行われている注目の手法で、屋内では博多駅などで事例がありますが、屋外では私たちの知りうる限りでは、佐世保市だけです。

特筆すべきは、この切り欠き配置などの設計・実施にあたり、「当事者参画のプロセス」がしっかりと確立されている点です。計画の初期段階から障害当事者が参画し、現場で歩行テストやフィードバックが行われました。

実際に、切り欠きの幅を、15cm、17cm、20cmの3パターン用意し、視覚障害の方が通行の支障にならないか現地実証し、最終的に17cmに決められたそうです。このように、当事者の声を設計に反映させることで、「実効性の高い、真に役立つバリアフリー」が実現されていました。

まとめ

今回の佐世保市での視察では、単なるインフラ整備にとどまらない「当事者目線での細やかな配慮」と「街ぐるみの協力体制」を学ぶことができました。 この貴重な学びを、今後、日本の街づくりにもしっかりと活かしていきます。

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